9月7日(月) Racha Fora


Racha Fora (ハシャ・フォーラ)


ブラジル南部の方言で聞かれる「ハシャ・フォーラ」の意味は

色々あり、「さあいくぞ」とか「行ってくれ」と訳すことも出来るが、

このアンサンブルに適した訳は「ブランチ・ライン」、すなわち、

ブラジルからアメリカを通過し日本に繋がるラインから広がる枝々と

いう解釈であろう。ブラジルと日本は知られているよりもっと長い歳月深く繋がっているかも知れない。

ハシャ・フォーラのサウンドは期待通りにデリケートであり、

活力的であり、アコースティックであり、エレクトリックであり、

そしてテクニックと頭脳である。

リーダー、本宿宏明のブラジル音楽への情熱は周知であるが、

もっとも明記されることは彼の長年にわたる故ジョージ・ラッセル

との関係であろう。ラッセル氏のアイデアは本宿氏の作曲編曲法に

強く影響し、彼独自のユニークな音楽イディオムをもたらした。

本宿氏はフルートの他Akaiのウインドシンセ、EWIも演奏する。

本宿氏のEWI演奏は驚異的な8オクターブを縦横し、彼がサンプラーを

プログラムしてノート型コンピュータから醸し出すサウンドは

多岐にわたる。

バイオリニスト、池田里花はクラシック出身の魅了的な音質を持つが、

ワイルドな演奏も自由に操る。インプロの名手であり、

彼女の正確なポルタメントは日本の伝統音楽を想わせるが、

反面ブルージーなサウンドもこなす。

ナイロンギター奏者、モーリシオ・アンドラージの演奏は

デリケートなクラシックのようなヴォイシングでアンサンブルを

支える。彼の伴奏のリズムは完璧であり、ソロは力強く和声的に

奥が深い。

ベースのハファエル・フッシは著名なギタリストでもあり、

ギターのテクニックをベースに活かしている。

彼とギターのアンドラージは時に一体となり、あたかも10弦楽器の

ように聞こえることがある。彼の確固としたグルーブはアンサンブルの

支えであるが、メロディーラインやカウンターラインをいいタイミングで挿入して聞き手を楽しませる。

~ J.R.キャロル、2011年7月、artfuse.org コラムニスト